日常の習慣から、循環型の実践へ
コーヒータイムは、多くの人にとって、慌ただしい一日の中でほっとひと息つける時間。
しかし、見落とされがちなのがその「後」に残るもの——使用済みのコーヒーかすです。実はまだ、命と可能性に満ちているのです。
ヘルシンキノコでは、コーヒーかすを「捨てるもの」ではなく「資源」として捉えています。
使用済みのコーヒーかすは、キノコ栽培に最適な、栄養豊富な土壌になります。適切な環境さえあれば、「廃棄されるはずだったコーヒーかす」は「キノコ」に新たな命を与えてくれます。
この考え方こそが「循環型経済(サーキュラー・エコノミー)」の本質。
資源を使い切るのではなく、再利用し、循環させ、価値を再生する。私たちの栽培キットは、この原則を手軽に体験できる入り口となります。キノコ栽培を通じて、「消費」「廃棄」「再生産」がどれほど密接につながっているのか、知るきっかけにもなります。
家庭でキノコを育てることで、日常の“当たり前の習慣”から、新たな価値を生み出す喜びと驚きを感じてみてください。
キッチンの”廃棄物”から食べ物を作ること。それは、温室効果ガスの排出削減や食品ロスの軽減、長距離輸送による環境負荷の低減にもつながります――すべてはあなたの窓辺から始まる小さな一歩です。
将来的には都市型農場の展開も視野に入れていますが、変化はいつも「家庭」から。循環の仕組みを日々の暮らしで体感し、その輪を広げていきましょう。
なぜコーヒーかすなのか?
朝のコーヒーを淹れるときには、香りや味わい、色を存分に楽しみますが、それだけではありません。使い終わったコーヒーかすにもまだ、たくさんの可能性が秘められています。
コーヒーかすにはリグノセルロースという、植物に含まれる天然の成分が含まれています。自然界では、ヒラタケはこの成分が豊富な木に生えています。
家庭でコーヒーかすを利用することで、私たちはその自然の循環を再現し、捨てられるはずだったものから、新たな食べものを生み出せるのです。
さらに実用面でもメリットがあります。コーヒーを淹れる際の熱湯が、軽い殺菌効果をもたらし、微生物の繁殖を抑えます。余計な殺菌処理や化学薬品、エネルギーを使わずに、きのこの菌糸を育てるのに最適な”土壌”を提供してくれます。
しかし、コーヒーは単なる技術的な解決策ではありません。世界中で日常的に楽しまれている一方、その生産には大量の土地や水の利用、そして二酸化炭素排出という隠れた環境負荷があります。一度使われたコーヒーかすを捨ててしまうと、そこに投じられた多くのエネルギーや価値もまた、失われてしまいます。
再利用することで、その本来の価値を余すところなく活かすことができます。コーヒーは、日々の習慣から学びへ、廃棄から成長へ、個人の行動から環境保全へとつながる、小さな架け橋なのです。
ヘルシンキノコプロジェクトが始まった
フィンランドの会社”Helsieni”とは
ヘルシンキノコプロジェクトはフィンランドの会社”Helsieni(ヘルシエニ)”から始まりました。
“Sieni”はフィンランド語でキノコを意味します。“Helsieni”は、首都ヘルシンキと“sieni”を組み合わせてつけられた名前です。
ヘルシエニは、資源を循環させながらキノコを育てる方法を広めている、ヘルシンキ発の会社です。
ヘルシンキ近郊にある自社ファームでは、近くのレストランから集めたコーヒーかすを使ってヒラタケを育て、収穫したヒラタケをそのレストランに届けています。こうして、街の中で循環型の仕組みが生まれています。

このプロジェクトを始めたのは、フランスとオランダ出身の2人の創業者。
彼らがずっと大切にしてきたのは、「廃棄物を出さない」というシンプルな考え方です。
都市で出るコーヒーかすを使って食べ物を育てることで、地元のお店を応援しながら、街や地域をより持続可能な場所に変えていく。それが、私たちの目指すかたちです。
また、キノコ栽培に循環型の考え方を取り入れることで、生産する人も食べる人も、より環境にやさしい選択ができるようになります。
日本に古くから伝わる「もったいない」の精神──限りある資源を無駄にせず、可能な限り活かすという考え方──は、まさにこのプロジェクトの根幹です。
自宅できのこを育てる方法を学べば、誰もがサステナブルな暮らしを実践できます。
たった一杯のコーヒーが、よりよい未来をつくる小さなきっかけになる。そんな循環の輪を、私たちと一緒に広げていきませんか?
どうして日本にやってきたの?
フィンランドと日本には、実は「キノコ好き」という共通点があります。
私たちが目指すのは、日本で大切に受け継がれてきたキノコ栽培の知恵や伝統を学びつつ、そこにフィンランドならではのアイデアや工夫をプラスすること。日本の豊かな文化への敬意を胸に、ワクワクしながら取り組んでいます。
ヘルシンキノコ栽培に必要なのは、コーヒーかす、DIY精神、そして何より「楽しむ気持ち」と「好奇心」だけ。ほんの少しの準備で、誰でも気軽に始められます。
また、日本もフィンランドも、持続可能な未来の実現に力を注いでいます。日本の知恵を土台に、フィンランドで新たに生まれたヘルシンキノコの栽培スタイルは、両国のアイデアが融合して生まれたサステナブルな一歩です。
ヘルシンキノコが描く未来
~日本に上陸した今、次に目指すこと~
私たちの次のステージは、私たちは”日本市場向け”のスターターキットとグローキットをお届けすることです。
新しい日本向けキットには、地元の原材料(日本のきのこ農家さんが生産する菌糸)や再利用・リファービッシュした資材(使用済みプラスチック容器など)を取り入れていきます。
さらに長期的には、フィンランドで培った理念をベースに、日本にも都市型キノコファームを立ち上げることを目指しています。持続可能でワクワクする“都市とキノコの共生”を、日本でも実現していきます。
ヘルシンキノコチームにジョインしたい個人の方、製品の販売代理店としての協力や、コラボレーション等に興味がある団体・企業の方は、「JOIN US」ページを通じてお気軽にお問い合わせください。
ヘルシンキノコプロジェクトの旅路の詳細を知りたい方はぜひこちらもお読みください!(英語)
You can read the more detailed story (in English) of this project on our blog : Big in Japan.